……でも、よくよく考えてみれば、あたしだって修史さんに初めて会った時不思議に思っていた。
修史さんは夢の中では眼鏡はかけていないのに、現実ではずっとかけているから。
だけどその理由は、本当は目が悪いわけじゃなかったからなんだ…。
あたしがそう思っていると、修史さんが言った。
「……本当は、タバコを吸うことも秘密にしておきたかったんだけど、鏡子と初めて会った日の昼休憩の時にたまたま見つかっちゃったからさ。
あん時、ヤベーなぁって思ってて。素だったら好きになんてなってくれねぇよなっていつも考えてたから」
修史さんはそこまで言うと、あたしの頭にぽん、と手のひらをやって言葉を続けた。
「でも、もういいよ」
「…?」
「俺は鏡子を騙してたわけだし、もうこれ以上一緒にいたいとか言わない」
「!」
「デートの約束は、鏡子の好きなようにすればいいよ」
修史さんはそう言うと、私の頭から手を離して落としたコップを拾う。
プラスチックのコップだったから割れずには済んだけれど、代わりにあたしの心にだけはヒビが入る。
…じゃあ、本当の修史さんって… ?
そう疑問に思うけれど、今は不思議なくらい声が出ない。
…………でも、
でもあたしは………、

