その声を聞いて、あたしは恐る恐る目を開ける。
今、亜季って…名前言った?
そう思っていたら、亜季さんが広喜くんに近づきながら言った。
「随分、慣れた様子で入ってくるのね」
「!」
「広喜、今日はバイトがあるんじゃなかったの?」
亜季さんは広喜くんにそう問いかけると、目が笑ってない笑顔で広喜くんを見遣る。
何だか、その雰囲気が物凄く怖い。
ねぇ、どういうこと?広喜くん。
結婚って、本当なの?
そう聞きたいけど、怖くて聞けない。
フラれてしまうのが怖すぎる。
そう思っていたら…やがて広喜くんが言った。
「…違うよ、亜季」
「…?」
「コイツ…鏡子は、ただの仲良い友達だから。浮気してるとか、全然そんなんじゃないよ」
広喜くんはそう言うと、あたしに背を向けたまま言葉を続けて言った。
「俺は、亜季だけを愛してるから」
「!!」
その言葉に、一瞬にしてあたしの頭の中が真っ白になる。
心臓が嫌な音を立てて、体が小さく震えた。
…何それ。
あたしは?あたしのことは、どうなの?

