…………
「はぁ…はぁっ…」
柳瀬店長がいるマンションを後にすると、あたしは家路を急いだ。
あたしのマンションまではかなり遠かったけど、途中でタクシーを拾ってそこに向かった。
ようやく到着するとエレベーターで上に上がり、部屋のドアの鍵を急いでこじ開ける。
焦ってしまっているせいかなかなか開かずに手こずってしまったけど、やっとの思いでドアを開けたら、その玄関には…
「…?」
広喜くんの靴は、まだなかった。
……いや、正しくは…広喜くんの靴“だけ”まだない。
でも、代わりに全く見覚えのない靴があった。
確実にあたしのものじゃない、誰かのハイヒール。
……誰?誰かいるの?
そのハイヒールに、だんだん嫌な予感がわいてくる。
あたしはかすかに震える足で玄関で靴を脱ぐと、ゆっくり廊下を渡ってリビングに向かった。
ドクン…ドクン…
そして、うるさいくらいに高鳴る緊張を抑えながら静かにドアを開けると、そこには…
「…っ!?」
「こんにちは、お邪魔してます」
物凄く綺麗で、だけど見たことのない知らない女の人がソファーに座っていた。

