「鏡っ…何で泣いてんの、」
「だっだって………修史さん、まだ怒ってると思ってたから、怖かったんだもん」
「!」
「なのに、いきなり謝ってくるから、安心しちゃって…」
あたしはそう言うと、止まってほしくても止まってくれない涙を、指で拭う。
泣きたくなんかないのに、涙は不思議なくらいに止まってくれない。
あたしがそうしていたら、修史さんが言った。
「…俺は最悪だな」
「…?」
「鏡子が元カレに酷いことを散々されてきたのを知ってるくせに、だから俺は何があっても鏡子に乱暴はしないって誓ったのに…結局こんなことしてるんだもんな」
そう言うと、夕べつけた赤い印を指でなぞる。
そして、言った。
「…もう怒ってるつもりはなかったけど、勘違いさせてごめん。変なヤキモチ妬いて悪かったよ」
そう言って、より強くあたしを抱きしめる。
けど、あたしもこれからは先生と会話する時間をもっと減らすと言ったら、修史さんは安心したような表情を見せてくれた。
あたしこそごめんね、修史さん。
そしてあたしがそう謝ると、修史さんが言う。
「…痛かったよね、この首筋の印」
「…ちょっとね」
「じゃあ、甘噛みして上書きしてあげる」
「…えっ、」
修史さんはそう言うと、今日は優しくあたしの首筋に触れた。
【けんか/おまけ⑤】
(…修史さん、くすぐったいよ)
(まだまだこれからだよ、鏡子ちゃん)

