「…仕方ないなぁ」



俺は鏡子のお願いにミキちゃんと視線を合わせるようにしゃがむと、目の前のミキちゃんに言った。



「ミキちゃん、これからゴハン食べに行くけど…良い子にしてるんだよ」

「うん!」

「じゃあ、パパと一緒に行こっか」



そう言って、ミキちゃんの手を優しく握って玄関に行く。

鏡子がどうしてミキちゃんも一緒に行かせるのか、その理由は謎のまま俺は靴を履いてマンションを出た。



「じゃあ行ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい」



鏡子がそう言って手を振ると、ミキちゃんも鏡子にぶんぶんと手を振り返す。



「ママ、じゃーねー!」



そしてそのまま別れると、俺はミキちゃんがいるから車で会場であるホテルに向かった。


…同窓会開始時刻は、夕方の18時から。

ホテルの中にある会場に皆で集まって、料理は全てバイキングになっているらしい。


ミキちゃんは未だに何処に向かっているのかあんまりよくわからないでいる様子だけど、

さっきから後部座席で何だか楽しそうに独りで歌を歌っているから…まぁ安心かな。


バックミラーに映るそんなミキちゃんの姿を見て俺は独り微笑むと、ホテルまでの道を急いだ。



……昔荒れまくっていたこの俺が、ミキちゃんを連れて来たら皆びっくりするだろうな。