あたしは修史さんに気が付くと、急いでチェーンを外してドアを開ける。



「び、ビックリしたじゃないですか。すっごく怖かったです、」



そしてあたしがそう言って少し口を膨らませると、修史さんが笑って言った。



「ごめん、ごめん。だって鏡子が心配だからさ。ほんとに開けねぇかなって」

「絶対容易に開けないです。信じて下さいよぅ、」

「うん。今ので俺もちょっと安心した。ごめんね、」



あたしは修史さんとそう言葉を交わしながら、修史さんを部屋の中に招き入れる。

それでも修史さんがこうやって会いに来てくれたことが嬉しくて、あたしは思わず修史さんに正面から抱き付いた。

すると、そんなあたしを修史さんが何も言わずにぎゅうっと抱きしめてくれる。



あぁ、こうやってるとなんだか凄く幸せ。

このまま時間が止まってしまえばいいのにって、そう思う。


あまりにも大きな幸せを感じてしまうから、つい心のどこかで思ってしまう。


これ、絶対運命だよね!って。


きっと、広喜くんと付き合っていた時の寂しさや孤独は、修史さんと出会って恋をする為のものだったんだ。

そう思ったら、最悪だった広喜くんにも今じゃ感謝の気持ちが溢れてくる。





………溢れてくる、はずなのに。