そしてその後は絵里奈と居酒屋で別れて、歩いて修史さんのマンションに帰った。

リビングに入ると修史さんはパソコンと向き合っていて、あたしに気がつくと「おかえり」って微笑む。



「もしかして歩いて帰ってきた?連絡してくれたら迎えに行ったのに」



修史さんはそう言って口を尖らせるけど、あたしは首を横に振って言った。



「大丈夫ですよ、すぐそこの居酒屋だったんで」

「…でも鏡子可愛いから、俺心配」

「!」



修史さんは呟くようにそう言うと、ソファーに腰を下ろすあたしを横から抱き寄せる。

突然のぬくもりにドキッとしていたら、肩に回されていた修史さんの腕があたしの腰に移動して、それをぎゅっと強く引き寄せられた。


けど……



「あ、しゅ…修史さん!」

「?」



あたしは修史さんのペースに流される前に、そんな修史さんの肩に手を添えて軽く押し返す。

そして、「なに?」と不満げな顔をする修史さんに、言った。



「あの…大事なお話があるんです」

「?」

「あたし、実は……



そろそろ自分のマンションに帰ろうかと思ってて…」