あたしは玄関を開け、カバンを放り投げると鈴谷が走っていった方向に走った。


さっきの出来事から、2分もたってないはず、なのに。


「な、なんでいないの、足早すぎでしょ!?」


だんだん辺りも暗くなり始める。


まだ、紅い夕日があたしの行く道を照らしてくれているのは幸いだけど。


「もう、ばか……っ」


あたしだって、雫のこと、好きだったよ、待ってたよ。

だけど、あんなの子供の約束だと思ってた、待ってるのも辛かった。


好きだった、じゃないな。

だって今も好きだから。


「!!、いた!」


雫が走っていったのは学校と逆の道で、一本道。


ずっと走った先に、一人で歩く雫が見えた。


まだあたしが来ていることには気づいてないみたいだ。


あたしはなるべく足音をたてないように走って、雫との距離を縮めた。


そう、今のがあたしたちの心の距離のように。