年下オトコと秘密の恋

ありえない。最後のバイト代がギフト券?


『いちじく』のマスターを地獄の果てまで追いかけて行こうか、、、



正直、真剣にそう思ったけど、



「お金は返さなくていい。その代わり、今からちょっと付き合ってよ」



私の頭の中でグルグル回っていた、
マスターへの怨みの念を吹き飛ばすような大きな風が吹いた。



「えっ?」



「何度も言わせるなよ…行くぞ~」



風で少し揺れる私のボブの髪を抑えようと、
手を髪にあてた瞬間


「ほら!!」


私の腕を優しく掴んで有は走り出した。

照れもあるのか、顔は進行方向を見たままだけど、仄かに香る有の匂いが甘く…


って、悠長な事を言っている場合ではない、、、


「ちょっと、どこに行くのよ!!」


私の言葉をワザと無視するかのように、ただ進行方向だけを見て、有は歩いていく。