そしてやっと退社の時間。 「桜。帰ろ?」 彼女の機嫌はずっと悪いままだったけど、とりあえず桜に声をかけた。 「………」 いつもなら、普通についてくるのに。 桜は、初めて俺を無視して先に出て行ってしまった。 「え、どうしちゃったの?」 「喧嘩?」 そんな俺達を見てザワザワと騒ぎ出す周りの奴ら。 周りなんか気にしないで、とにかく彼女を追いかけた。 後ろで、早乙女が笑っていたなんて気付きもせずに。