『速報です。
つい先程、東京都中野区で通り魔事件が起こりました。
容疑者は先月東京都渋谷区の交差点にて事故を起こした男で、脱獄している間に逃走した模様です。
次の情報が入り次第、また中継を撮ります。
現場から、****がお伝えしました。』
またこの容疑者のニュース。
何人人を殺めれば済むのか。
溜息を漏らすと、耳鳴りが頭を劈きあの視線を呼んだ。
誰かが見ている。
ちはるちゃんだ、絶対。
私にこんな事をするのはちはるちゃんしか居ない。
もう寝ようとテレビを消す為にリモコンを持った瞬間、誰かの吐息を感じた。
すぐ後ろに誰かいる。
母と父は2人で買い物に出掛けている筈だ。
荒い呼吸が耳元を掠め、脳内の細胞を殺していく。
振り返れず固まっているとテレビからまたあのニュースキャスターが出て来た。
『再び速報です。
殺されたのは、中野区の高校、2年A組の鈴木ちはるさんの模様です。
帰路と見られる場所に倒れていた彼女の手には、友人にあげるプレゼントとして小さい箱が握られていました。
以上、現場から****がお伝えしました。』
プレゼント箱が映し出された時に涙が零れた。
そこには確かに「愛美へ」と書かれた箱。
明日は私の誕生日だ。
とめどない涙が私を責め立てる。
ちはるちゃんを殺したのは___
わたしなの???