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「っは…!!!」

風呂場で寝落ちしてしまったようだ。

なんの夢を見ていたのかはわからないが、最後のあの囁き。

聞いた事があるような、無いような不思議な感覚。

のぼせたのか体がふわふわする。

浴槽から起き上がり、脱衣所へ出て体を拭いた。

パジャマを着てスマホを持ち、脱衣所を後にした。

「お母さんお父さん、出たよ…」

「遅かったわね、どうしたの?」

「なんでもないわ、寝てしまっただけ。」

「…そう、私は風呂入って来るわ」

眠いが布団で寝る気力も無く、ソファーに凭れかかった。

TVを見ると、まだ渋谷交差点での事故が報道されている。

犯人はどうやら薬物中毒の男らしい。

関係無い命がこうも無惨に散るのを見ると普通の人は悲しむが、私はどうもそこまで悲しみは出来なかった。

(私には関係無いもの。
可哀想かもしれないけど、それも運だわ___。)

遠くから猫の鳴き声が聞こえる。

幾ら猫の鳴き声が大きくても、聞こえる筈が無い。

再び締め付けられる心臓が疼いた。

目を瞑り耳を塞いでいたら急に肩を叩かれた。

ビックリして振り向くと、お母さんがバスタオルのまま立っている。

私は安心して深呼吸を繰り返した。

「愛美、大丈夫?
疲れてるの…?今日は早く寝ちゃいなさい。
明日は朝会なのよ、生徒会長なんだからしっかりしないと。
頭痛薬、持ってきてあげるから2階で寝なさいね?」

「ええ…ありがとう…」

頭から猫の鳴き声が離れない。

それを振り払うようにかぶりを弱々しく振り、布団へ寝転んだ。

「はい、水とお薬。」

「ありがとう…」

薬を水で飲み込み、再び目を閉じた。

しかし、寝られない。

母はもう出て行き、独りしかいないこの部屋。

本当は独りなんてなりたくなかったが、お母さんにわがまま言えない。

(どうしよう…)

普通は頭痛薬の成分で眠くなるのに逆に頭が冴えていくばかり。

睡眠薬でも飲みたいが既に頭痛薬を飲んでいて、2つの薬を飲み合わせるのは危険だ。

お風呂場での眠気はどこに行ったのか。

溜息をつくと同時に部屋のドアが開いた。

お母さんとお父さんが2人で入って来るのが見える。

寝れないのを相談しようと身を起こすと、お父さんがお母さんに馬乗りしているのが伺えた。

そして2人は熱い接吻を交わして、互いに服を脱がし合っている。

耳に響く水温と艶かしい温度に目眩を覚え、音を立てないようにそっと布団に寝そべった。

気持ち悪い、両親のこんなのなんか見たくなかった。

耳を塞ぎ、目を痛いくらいに閉じる。

それでも水温は頭に響いて私から眠気を更に奪っていった。

「んっ…あなたっ…ああっ…///」

「はっ…しっ、聞こえちゃう…///」

「や、あん…っ!!!///」

今すぐトイレに行ってもどしたい気分だ。

なんせ、私はそういうのに興味が無く免疫が無い。

こんな事、早く終わって欲しかった。

瞼を強く瞑っているうちに、自然と眠気が体を襲う。

耳を塞ぐ力も無くなり、とうとう私は眠りについた___。