「雫ちゃん、いる?」


誰か、私の名前呼んだ?


「「きゃあっ!」」


教室の女の子たちが一斉にドアの方に注目する。



「「佐賀先輩~っ!!」」



「悠大先輩!?どうしてここに!?」


「ああ、今日の朝のことで。大丈夫だった?怪我してない?」


悠大先輩って優しいな…


「大丈夫ですよ。わざわざ、ありがとうございますっ」


「いや、俺も悪かったし…。ごめんね?」


私よりも身長が高いのに子犬みたいに謝られて、不覚にも可愛いなんて思ってしまった。


…じゃない。私が悪いのに…っ


「いえいえ、悠大先輩は悪くないですっ!」


そう言って悠大先輩を見上げると…


「…っ」

悠大先輩はなぜだか片手で顔を隠し、私から顔を背けてしまった。