「いったぁ…っ」
頭と背中を強く打って、出したくもない涙が出てしまう。
その瞬間、廊下の角から優真が飛び出してきた。
「おいっ、優真!」
その声がした方から、私たちの話を聞いていたらしい人たちが一斉に転んだ。
「「うわっっ」」
橋本さんたちはびっくりしていて私は流していた涙が引っ込んだ。
…痛いことは痛いけど。
「雫、大丈夫か!?」
優真が駆け寄ってきた。
「優真…」
そのとき、引っ込んだはずの涙がじわっと流れ出た。
「優真ぁ…っ」
優真は泣いている私を見ると、
「お前らっ!やることが汚ねぇぞ!」
そう叫んだ。
「集団で1人をいじめるとか最低だな。それに、雫はお前らなんかよりもずっと可愛いから。間違ってんぞっ!」
優真は橋本さんたちに言うと私を抱きしめた。
橋本さんたちは怒りで震えているようだった。
でも、優真もかっこいいから少しでも可愛く見せようとしてるみたい。
だけど、優真に抱きしめられている私は…