「ははっ。そうだな。」


「高杉まで。」


「小五郎さん…。その人は誰?」


あたしは小五郎さんの襟元をつついた。


「彼は高杉晋作ですよ。」


「そう…。そろそろおろしてもらえる?」


あたしはそう言うと小五郎さんはあたしを下ろしてくれた。


「おい、女。顔見せろ。」


「高杉晋作…さんの声…だね。」


あたしは聞こえた方に顔をあげた。


「お前…目を怪我してるのか?」


「あー…はい。」


「そうか。…で、名前は?」


「巳甘です。小五郎さんが名付けてくれました。ね、小五郎さん。」


「へぇ…。女嫌いだったあの桂がねぇ。」


「小五郎は春が来たと思っちょるんが…」


「いや、その通りだろ。」