「小五郎さん…?」


「もう少しこのまま…」


「うん…」


氷雨が来るまであたし達は抱き合った。


なんで小五郎さんがあんなことしたのか分からない。


「小五郎さん、氷雨の足音が聞こえる。」


「そうですか。」


名残惜しそうに小五郎さんはそういった


「すいません。いきなり…」


「ううん…」


「おーい。2人とも、お待たせ。おそうなってごめん。着物とか全部風呂敷につつんどいたから。」


氷雨が持ってきた風呂敷というものは大きかった。


それを小五郎さんが持つ。


「ありがと…」


「いいですよ。」


「あ、あと、これ。」


氷雨が渡してきたのはあたしが目に巻いたのと同じ物だった。


「さっきつけてたのは捨ててこの新しいのをあげるからつけぇよ。」


「うん。ありがと。小五郎さん、目に巻いてくれる?」


「えぇ。」


小五郎さんに渡して付けてもらった。


「終わりましたよ。」


「ありがとう。」


小五郎さんはあたしの手を握った。


「傘、使いますか?」


「はい、是非。」


バンッと大きな音がしたと思ったら空いているあたしの手に傘というものを持たせてくれた。