小五郎さんに連れられてあたしは歩いた。


ガヤガヤ


なんだか騒がしい。


それに目隠ししてても肌が焼けるように熱い…


やっぱり日光は苦手…


あたしは立ち止まった。


小五郎さんも立ち止まる。


「どうかしました?」


「人間の声が…沢山聞こえるの。」


「ここは人間の住むところなんですから。ほら、早く行きますよ。」


「うん。」


あたし達は歩き始めた。


「ねえ、小五郎さん。」


「なんですか?」


「人間の事沢山教えてほしいの。それに…小五郎さんの事も教えてほしいの。」


「いいですよ。」


「本当?」


「えぇ。」


「あとね、あたし日光弱いから…。」


「では急ぎましょうか。」


小五郎さんは足を早めた。


あたしもそれについて行く。


「着きましたよ。」


小五郎さんは一度立ち止まってまた歩く。


そして声を出した。


「この子に似合う着物お願いします。」


「桂さんやないの。そちら男やと思うたら女やったんや。まぁ、うちに任せとき。」


「ありがとうございます。」


小五郎さんはそういうとあたしの手を離す。


「離さないで…」


あたしは小五郎さんの手を探して握った。


なんでだろ。


小五郎さんから離れたくない。


ずっと触れていたい。


…この気持ちは何?


「巳甘…さん?」


「あ…ごめんな…さい。」