沖田総司は愛おしそうに悲しそうに巳甘さんを眺める


「巳甘さんは渡しませんよ」


「あ、バレてた?」


「みれば分かります。」


「むかつくその顔。その自信に満ちた顔が。土方さんに似ててなんかむかつく。」


僕は沖田の言葉を無視して巳甘さんを横抱きに持ち上げた。


冷たい。


認めたくないけど巳甘さんは死んでる。


「何逃げようとしてるの?」


「そりゃ逃げますよ。」


「逃がさない…と言いたいとこだけど今日はなんか気分が乗らないからやめとく。」


くるりと沖田は踵を返し歩く。


何度目だろう僕らを逃がしてくれたのは


いや


僕らのために逃がしたんじゃない。


巳甘さんのために僕らを逃がしたんだと思う。


ふと沖田は足を止めた。


「あと二つ言い忘れた。
坂本、お前後であのこと桂に言っといてね。
あと、次見つけたら容赦しないから。」


それだけ言うと1人で去っていた。


男達はいつの間にかいなくなってた。


こっそり逃げたんだと思う。


復讐したいとか思わない。


そんな事したら巳甘さんが悲しむから。


「龍馬さん、帰って皆で巳甘さんを見送りましょう。」


「あぁ、そうじゃな。」


僕は空を見上げた。


雲ひとつない綺麗な空だった。


巳甘さん、またお会いしましょう。


会う時までには平和な国に僕らしますから。


それまでさようなら。






























巳甘さん愛してますよ。


僕もずっとずっと貴女の事を愛し続けますから……






ー完ー