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暫く走ってようやく藩邸へと着いた。
その頃には二人とも息を切らしていた。
「はぁ……す…すまん。さく…や、ちぃと、飲み過ぎてのぅ…。」
「……今度、甘味奢ってくださいね。」
そう言いながら小五郎は中に入ってたが。
「甘味奢れゆうても小五郎の甘味を食う量は……おぉ。怖…」
わしは小五郎が食う甘味の量を想像して身震いしながらわしも続けて中に入ったき。
「遅い。」
部屋の中に入ると西郷さんが胡坐をかいて怒っていた。
すかさず小五郎はわしの失敗をゆうちょる。
「全ての責任は龍馬さんですよ。」
「す、すまん…悪気はなかったんじゃ。」
「今度酒奢れ。龍馬、分かったか?」
わしは首を縦に振ることしかできんくて頷いたきに…
最悪じゃ。
わしは仕方なくその場に座ったき。
「で、話なんだがな。巳甘がいなくなったそうだな。」
「…はい。」
元気が一気になくなっちょる小五郎。
「見つかったのか?」
「いえ。」
「そうか。なら、呼んだ甲斐があったな。おい、伊東入れ」
そう呼ぶと襖が開けられた。