けど、あたしは尻餅をついてしまった。
あまりにも突然過ぎて固まっていた。
「僕にぶつかってくるとはいい度胸ですね。」
沖田さんの声はとても不機嫌そうだった
「すまんき。前をみちょらんかったぜよ。おんし、大丈夫がじゃ?」
この話し方といい、この声何処かで聞いたことある。
「僕は大丈夫ですけど。僕は。」
「僕は?ん?他に誰がおるんじゃ…っだ!」
バキッ
い、痛そう。
すごい音したよ?
「あんたの目はどこについとるん?」
女と男はそのまま言い合いをしてた。
この声も聞いたことある。
どこだったけ…と、一人で考えていると沖田さんがあたしを立たせてくれた。
「大丈夫?僕よりこけてたよ巳甘さん。」
沖田さんがあたしの名前を呼ぶと二人は言い合いをやめて静かになった。
「…巳甘?」
女の人があたしの名前を呼ぶ。
「え?」
「巳甘さん、この人達と知り合い?」
「巳甘か?」
男の人も呼ぶ。
知ってる…けど、分からない。
「沖田さん、あたしこの人たち
知らない。」
あたしはそう告げた。