目を開けた頃には頭は痛くないし、さっき見えてたものは見えなくなった。


ガラ


「巳甘さん。ご飯、今日は食べてもらいますよ。」


沖田さんは襖を開けてあたしにご飯を差し出してきた。


「あたしは食べなくても平気って言ったはずだよ。」


ここに来て目が覚めてからはご飯が毎回毎回出されるのだけどあたしは一口も手をつけてない。


だって食べなくても平……


グーキュルキュルー


なのにお腹の音がなった。


「クス…。お腹空いてるじゃん。」


「ち…違う!」


ガラ


あたしは襖を開けて笑う沖田さんに言った。


「顔真っ赤だよ?可愛い。」


「か、可愛くないよ!」


「いいから、食べて。ほら、口開けて」


「食べ_____」


グーキュルキュル


「……る。」


あたしはお腹が空いてきたから口を開けた。


「わぁ…。口が大きいね…」


「変…?」


「そんなこと思ってないよ。羨ましいな。沢山甘味が食べれそうで。」


そう言いながらあたしの口の中に食べ物を入れる。


「美味しい?」


「…何かが足りない。」


「え?」


「えっ…と……あの、な、なんでも無い。」


「そう?自分で食べれそう?」


沖田さんは真っ白いものが入った丸いものを渡してきた。


「これが匙ね。」


「匙…」


ーー『巳甘さん、これは匙と言ってお粥とか食べる時に使う物です。持ち方はこうで…。巳甘さん、上手です!』


また、この声…


今度はその人が浮かぶ


けど顔は光で反射してて見えない。