「そっか。」
「うん。…あ、そうそうこれ君の。」
沖田さんはあたしに渡してきた。
「これは…?」
「傘と金平糖と財布。」
黒い傘と色んな色の金平糖と財布。
あたしは傘に見覚えがあった。
ーー『あ、これ傘です。巳甘さん日光が苦手と言ったのでこれで日光を防いで下さい。』
ズキン
さっきの声と一緒の声が頭の中で聞こえる。
誰の声?
何故あたしが日光が苦手なの知ってるの?
「巳甘さん?」
沖田さんがあたしの名前を呼ぶ。
この声は沖田さん?
…違う。
沖田さんの声じゃない。
だったら誰なの?
あたしの名前を知っていてあたしの事を知っているのは…
誰?