言い聞かせれば言い聞かす程あたしは悲しくなった。
悲しくて悲しくて仕方がない。
どうしたのあたしは…
昨日はこんなんじゃなかったのに…
昨日?
昨日っていつだっけ。
「大丈夫⁈顔が涙でぐちゃぐちゃだよ⁈」
沖田さんはあたしに四角いものを渡してきた。
「これは…?」
「手拭いだよ。それすらも忘れた?」
「知らない。どう使う?」
「あー…僕がやるから目瞑って。」
あたしは言われた通りに目を瞑った。
目元になにか少し柔らかいものが当たる
「これで終わりです目を開けて。」
目を開けると沖田さんの顔が近くにあった。
沖田さんはあたしからすぐ離れた。
「ありがと…」
あたしはお礼を言った。
「ねぇ、早く教えて。今はいつ?」
何か知ればあたしは思い出すかも。
「今は慶応3年5月14日だ。」
慶応?
また年号変わったんだ。
「今は江戸時代?」
「当たり前だろ」
「そう。」
「で、何か分かったのか?」
「分からない。」
「それは本当か?」
シャキッ
険しい顔の人間は鋭くて光長いものをあたしの首に置いた。
これは刀…ってもの?
あたしはその刀を手に持ってあたしの心臓の上においた。
「何がしたいんだ?」
「あたしを殺すのでしょ?だったら話が早い。あたしを……あたしを…」
「なんだ?」
「あたしを………あたしを…」
な、なんで言えないの?
あたしは死にたくて死にたくてたまらないのに。
殺してって最後まで言えない。



