「こいつの名前は?」
確か…巳甘さんだっけ?
前にまた会った時桂が必死に女の名前呼んでたっけ。
『巳甘さん!』
って。
「巳甘…さんって言ってた。」
「巳甘…何処かで聞いたような……」
「本当?」
「あぁ。伊東さんと誰かが話してる時にその名前が出てたような気がする。」
「もしかしてこの女は伊東さんとも繋がってるって事?」
伊東さんは近藤さんを暗殺するという計画を立てていると一君から聞いた。
このことを知ってるのは幹部だけ。
平助は知らないと一君は言っていた。
「さぁな。伊東さんは『とっても教え甲斐のある教え子が出来たんですよ。』って、嬉しそうに話してた。」
「へぇ〜。興味ないね。」
「聞いといてそれはないだろ。」
僕は女を見た。
まるで死んでいるかのように寝てて目を覚まそうとはしない。
「どうしたんだ、そんなに眺めて。惚れたのか?」
「冗談がきついよ。」
惚れるなんて冗談じゃない。