「俺ら少し抜けるな。すぐ戻って来る。」
「晋作、巳甘を襲ったらいかんぜよ!」
「まあまあ、坂本さんも。」
興奮した龍馬さんを宥める伊東さん。
「高杉、巳甘に手を出したら許さないからな。」
西郷さんは低い声を出して晋作さんを脅してる。
「僕もついて行きますよ。」
小五郎さんの声が聞こえた。
けどそのあと幾松さんが「お邪魔したらいけんやろ?」と小五郎さんを引き止める声が聞こえた。
「何言ってるんです?あの二人は恋仲ではないんですよ。…手を離して頂けます?」
聞いたこともないような声で小五郎さんは幾松さんに言う。
あたしはいま目を両手で覆ってるからよく分からないけど、幾松さんは啜り泣きをしていた音が聞こえる。
幸い周りの四人は酔っていてるから今の状況がわかんないと思う。
「小五郎さんはここで待っていて。あたしは目を隠しに行くだけだから。直ぐ戻ってくるから大丈夫。」
「巳甘はんもそういってはるやから、桂はんここにおってや。」
ピタリと泣くのを辞める幾松さん。
「分かりました。巳甘さんがそう言うなら僕はここで待ってますね。」
「うん。」
あたしは晋作さんと部屋を出た。
あたしが部屋を出るとき幾松さんが誰にも聞こえないくらい小さい声で
「桂はんはうちのもんや…」
誰にも聞こえなかった筈だったけどあたしには聞こえた。
しっかりと…



