「巳甘さん、気晴らしに今夜皆で島原に行きませんか?あそこは女が行くところではないのですけど、巳甘さんの3年記念をお祝いして行きましょう。」


「そっか、ここに住んでからそんなに立つんだ。」


小五郎さんに教えてもらったんだけど今日は3月21日。


あたしたちが出会って3年ちょっとくらい。


「行きますか?」


「行く!」


「伊東さんもいますよ。」


「本当?教えてもらいたい事沢山あるんだ!」


「では、夜まで家にいましょうか。」


あたしは小五郎さんと手を繋いで家に帰った。


夜になるとあたしは赤の着物を着ようとしたら紺の着物を勧められた。


「どうして?」と聞くと小五郎さんは


「島原の遊女より目立つと行けませんからね。」


「あたしの目が赤いから?」


あたしは外へ出るときだけ目を隠している。


今では自分で巻けるようになった。


「それとこれとは違いますよ。でも、外へ出る時は必ずつけないと駄目なんで気にしないで下さい。」


「それじゃあ何?」


「…貴女が美し過ぎるからですよ。」


小五郎さんが顔を赤らめ顔を背けそういった。


「美しくない…」


「いいえ、貴女は十分美しいです。」


今度は目を合わせて真剣な表情で小五郎さんはいう。


ドキドキ


まただ。


ここ最近


小五郎さんに綺麗とか褒められたり
頭を撫でられたり手を繋いだりすると
心臓がうるさくなるの。


胸が締め付けるような感じ。


なんだかたまに泣きたくなるの。


「こ、小五…郎さんがそういうな…ら……」


今度はあたしが顔を背けてしまった。


顔に熱が上がって行くのがわかる。