ーーー遠い遠い記憶。 犬を散歩させるのは僕の役目だった。 やけに夕日が赤い、木枯らしが吹く日。 引っ越しのトラックが道を塞ぐ。 避けようと一歩踏み出した、 瞬間。 トラックの後方に、影が見えた。 『こんな場所…っっ! 来たくなかった!!!』 涙ながらに叫ぶ女の子の声。 足を止めずに進む。 姿を見せたのは、変わった髪型をした女の子。 ショートカットというには乱雑で、ところどころ頭皮が見えている。 思わず歩を緩める。