冷たい風がザワザワと木々を揺らし、私たちの間を吹き抜けていく。


「ほんなごてぇひどか母親たい。自分の都合でここに縛り付けて、息子の将来ば犠牲にして……」

「おばちゃん……」


おばちゃんの目から見る見る大粒の涙が零れ、地面に落ち吸い込まれていく。


「なんで、あん時、ゆうてやれんやったとやろ……。
『家のことは心配せんでうちに任せとけ』って。
『お前は好きな道を進めばええ』って。
好きなことも何もせんで、全部我慢してあん子は……。
こがん……
こがん早よう逝くて知っとったら、うちは……!」


泣き崩れるおばちゃんの肩を支えるように私はおばちゃんを抱きしめる。


ノリが逝ってたった6年。



でも、もう7年になろうとしている。



それでも、後悔は……



後悔はいつも黒い灰のように心に降り積もって、人の心を曇らせる。