「さっきの答えだが、お前たちのことが気になって、日本に帰る前に立ち寄ったんだ。

そしたら、マンション近くの公園でお前が倒れたって愛ちゃんに聞いて、愛ちゃんと一緒にここに運んできた」


「……そうだったんですか。すみません。迷惑をかけてしまって……」


「それより、佐久間。まさか、お前、愛ちゃんに何も話してなかったのか？
あの子の足の治療費のこととか、そして、今回ＮＹに来たもうひとつの理由についても……」


「……」


「ばかやろう」


「奥田さん……」

「男としていきがるのもいいだろう。
だが、相手に弱さを見せて、時には助けを求める強さも必要なんじゃないか？」


「弱さを……強さに？」


「まぁ、俺も言えた義理じゃないが……。

だが、それをあいつに……由紀に教えてもらった。
そういう勇気も必要なんだってことをな。

そして、それがやがてお互いの『絆』とか『信頼』ってやつに変わるんじゃないのか？」


「奥田さん……俺……」


「伝えてやれ、愛ちゃんに。
彼女はお前が思っているよりずっと芯の強い女性だ」

「……」

「……じゃ、俺はこれから日本に帰るが、もう無茶はするな」