「ああ。大学時代のサークルで知り合ってね。よく3人で飲み歩いてたよ」

「勉強はそっちのけでね」

「おいおい。俺は死ぬほど勉強したぞ!澤村と違って」


海江田医師が課長の脈を取りながら笑う。


「あの……課長は?」

「もう大丈夫。峠は越したよ」


ほっと胸を撫で下ろす。

昨日に比べると課長の顔に幾分赤みがさしていて、酸素吸入器も外されてる。


「じゃ、俺はこの後の回診がまだ残ってるから」


海江田医師が去った後、私と社長はパイプ椅子を開き、課長のベッドの横に腰を下ろす。



課長ってばよく寝てる。



窓の外に目をやると、ポツリポツリと小雨が降り始めていた。