「俺はこれから社に戻るけど、お前達はそのままうちに帰りな」

「ですが……」

「行かないで!課長!」


安田を押しのけて課長の腕を掴む。


「そう言うわけにもいかないんだよ、愛。

俺は澤村社長には拾ってもらった恩がある。

今、一番困っているこのときに社長を助けたい」


「でもっ!」

「杉原さんは帰った方がいい。

僕が佐久間課長と行くから。

いいですよね?課長」

「安田……。見ただろう?今の報道を。身の安全は保障できないぞ」

「自分で守ります。ですから、一緒に行かせて下さい」

「……分かったよ。愛はマンションに戻ってて。夜には帰るから」

「私も行く!私も、一緒に……」


不意に課長が私の手を引くと、その胸にきつく抱き締めキスをする。