「私、行ってくる!」


本部長室に行きかけた私の手を安田が掴む。


「ダメだよ!分かんないの?佐久間課長は、君を巻き込みたくないから俺を庇ったんだって。今、行ったら……」

「だったら、なおのこと行かなきゃ!お願い、行かせて!」

「ダメだって!そんなことしたら、君を守りたいって言うあの人の気持ちが水の泡だって!
あの人は大人だよ。俺達が思っている以上に。それに、真剣に君のことを想ってる。だから、ここはあの人に任せておいた方が……」


言い争っているうちに課長が本部長室から出てくるのが見える。


「課長!」


今すぐ課長のそばに行きたい。


でも、課長は私と目が会うと『来るな』と首を振る。