私が泣いている間、課長はずっと背中をポンポンって優しく叩いてくれてた。

コンコン。

外からのドアのノックの音に、あわてて課長の胸から離れる。

「お食事の用意が出来ましたが、お運びしてもよろしいでしょうか?」

「あ、はい」

仲居さんが戸を開けて、食事の準備をしてくれる。

課長の前で泣いちゃうなんて……はずかしい……。

でも、こんなに泣いたのは、あの事故以来、初めて……。



それに


不思議。


心がすぅっと軽くなったような気がする。