「で? 突然そんなこと言い出すからには、何か理由があんだろうな?」 「あ……何でもないっ。騒いで悪かったな!」 「おいっ!?」 急にいたたまれなくなり、逃げるように駆け出した。 土を蹴りながら考える。 私は、どうして安心してしまったの? 城ヶ崎が彼ではないとわかったから? 城ヶ崎じゃいけなかったの? ……それに、どうして彼は私の前から姿を消したの? 「………………」 急にバカらしくなって、足を止めた。