(おかしいですぞ……)



 休み時間、私は土屋先生に日直の仕事を仰せつかったはず。

 これでも力仕事には自信があったんだけど、「僕が行くね!」ってスマイルもらっちゃって。

 口を挟む間もなく、大量のプリントをせっせと用意する若葉くんを、職員室の外で待つことになった。



「……ホント、不思議な人」



 編入生って注目されるものだし、誰かしら話しかけてくれるものだ。

 若葉くんほどの人柄なら、すぐに友達だってできるはず、なんだけど。



(昨日、若葉くんは私以外の誰かと話してた?)



 考えてみても、頭の中は真っ白だった。