「若葉くんの眼鏡って高性能だねえ」 「え、どうして?」 「私には何時かなんて見えないもん」 これでも一応人並みの視力はあるはずなんだけど。 針がどこを指しているのかまでは、よく見えない。 「ああ……カンだよ。かけたら普通の視力は出るから。ボヤけて見えるくらいで大体何時かなーって当てるんだ。 それより、急いだほうがいいよ!」 「…………」 なんか、おかしい。 今まで落ち着いていた若葉くんが、急に取り乱し始めた。