青年が口元に手を当て、こらえきれないように肩を震わせている。 まず自分の目と耳と状況処理能力を疑った。 笑った? なんで? 笑いの要素なんてどこにありました? 「すみません。ぶしつけに笑ってしまって」 「いえいえ……それより、私のこと怖くないんですか?」 戸惑いながら口にして、後悔した。 そんなことを訊くのは野暮だ。 私本人を目の前にして、答えなんて返って来るはずないんだから。 ……それなのに。 「怖くなんかないですよ。面白いなぁとは思いましたけど」