「もう、大丈夫だよ。帰ろう?」
私は優しくそう言って、凛が服を着るのを手伝った。
「ご、ごめん・・・ご、め・・・ん・・」
凛は泣きながらずっとそう呟いていたけれど、私はとにかくこの汚い場所から早く凛を連れ出してあげたかった。
自分でもそんな風に感じることが、とても不思議だった。
幼い頃、ボロボロの私を見ても誰一人助けてくれる人間は居なかった。
だから私はそんな大人を恨んでいたし、もちろん今だって復讐することしか考えていない。
私は幼い頃から、今の凛が受けた苦しみよりももっと苦しい目にあってきたのに。
何故だろうか。
目の前で弱っている凛の姿が、何故かとても私の胸をきつく締め付ける。
心で眠る馬鹿なあの子ならば、そんな感情を抱く事もあるだろうけれど、私にはそんな感情はないはずなのに。
深く考えても私には分からない答えだったので、私はとにかく凛に服を着せる事に集中した。
とりあえず、下着と凛が着ていたであろうTシャツにレギンスを履かせる。
ニットのカーディガンを羽織らせようとすると、黒いニットに明らかに穢れた物がついていることに気付いたので、そのままゴミ箱に投げ捨てた。
そしてサイズは合わないけれど、私のコートをそのまま着せる事にした。

