10月になっていた


朝、中庭のベンチに座っている結にクラスの奴が気づいた

結が帰ってきた!!

だけど…誰も声をかけられなかった

だって今日は、健ちゃんの命日


こっちに戻ることもしらせず

突然帰ってきた

教室に来る前に、健ちゃんにただいまを

伝えているんだ

誰よりも先に、伝えたかったんだ



「ただいまぁーーー!!!」



教室に入ってデカイ声でいった



「「「「おかえりーーー!!!」」」」



俺らも負けずに声を出した


「うるせーー!!!」


佐山が入って来た


「やっと皆揃ったな!!」


ニヤッと佐山が笑い


「七瀬、文化祭って知ってるか?」

「知らない」

「そうか、そうか」佐山のニヤ顔見て

「パス」

「拒否権なし!!」

「面倒なことは、したくない!!」


久しぶりの佐山と結のバトル


「このクラスでピアノを弾けるのはお前だけ!」

「は?ピアノ?」

「合唱をするんだ!
去年は、音楽の先生がピアノを弾いてくれたが、今年は産休!
だから、拒否権なし!弾け!!」

「なんだ、そんなこと?いいよ?」


あっさり了解を得る


「んじゃ、2限の俺の授業は、音楽室に集合な!!」


1限が始まるまで、結は皆に囲まれた

その輪に入れない俺……

むーーー何やってんだ!!!

2限の前は、信也と蘭ちゃんの所へ行ったみたいだ

俺も、話したい!!




「この曲を寺元先生から預かった」

「ほーい、ちょっと時間ちょうだいねー」


譜面をジロジロ見る

目を瞑る


「寝るなよ?」

「おっと!!」

クラス皆の注目集めている状況で
寝かけたんかい!!

「寝たきりだったもんで……」

「年寄りみたいな言い方すんな!!」


譜面を見ながらピアノを弾きはじめる


曲は『瑠璃色の地球』松田 ○子さん


結の歌声は


ビデオの時よりも、感動した!!

心がこもってるって感じ!!


「こんな感じ?聞いたことない曲だから
あってる?」


拍手喝采!!結さん素晴らしい!!


「なんか、お前にぴったりの歌だな!」

「そう?んじゃ、今度これ使う!!」


緊張という言葉は、結にないのかね?