***


 「義清。最近堀河さまと親しく付き合っているんだって?」


 ある日任務についていたら、同僚の平清盛にそんなことを聞かれて、義清は焦った。


 「大した奴だなあ。真面目そうな顔して、待賢門院さまのところの女房と。身分も年齢も向こうのほうがずっと上なのに、よく口説き落とせたな」


 「……ただ歌を通じての交流だ」


 義清はごまかした。


 「頻繁に通い詰めて、朝帰りを繰り返しているそうじゃないか。奥方にも気づかれているんじゃないのか? 急に夜勤が増えたと言い訳しても、無理があるだろ?」


 「……」


 義清は答えに窮した。


 「……ちょっと気になっているんだけど。お前、待賢門院さまのお姿を見てしまってから様子が変だった。いきなり堀河さまに接近し始めたのもそれからだ。お前まさか、大それたことを企んでいるんじゃなかろうな」


 何も考えていないように見えて、清盛は非常に勘がいい。


 清盛の追及に、義清はかなり動揺していた。