「堀河、頼む。待賢門院さまをお救いしたい。果てのない暗闇の中から」


 「義清どの」


 「こんな役目委ねられるのは、お前しかいない……!」


 「……」


 「お前だけを信じているから」


 私を見つめるその瞳は、私を通り越して別の存在を探している。


 私を抱くその腕は、私じゃない別の誰かの体を感じている。


 私の名前を呼ぶその愛しい声は、私の名を借りて別の人の名を求めている……。


 堀河は全て分かっていながら、黙って身を任せ続けた。