ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

「そうだよなぁ。

光太といえば、まさに『来るもの拒まず、去るもの追わず』だったもんな」



「どの女にも優しいけどさ、執着はしないんだよな」



「俺、光太の元カノ何人から相談されたことか。

『本当にあたしのこと好きなのか分からないの〜』って」




一人が裏声で再現してみせると、周りがあははと笑った。




「俺も相談されてたよ、よく。

『女だったら私じゃなくてもいいんだ、きっと……』とか言ってな」



「俺も俺も」



「ほんとしょうもない奴だよな。

モテる男って憎い!」




そのとき、ぐらりと先生の身体が傾いで、ずっしりと私にもたれかかってきた。




「わ、ちょっと、先生………」




慌てて前に出てきた先生の友人たちと一緒に支えて、耳を澄ましてみると、先生はすでに安らかな寝息を立てていた。




「………寝てる」




私は独り言のように呟いた。


なんて緊張感のない………。




「あー、とうとう潰れたな」



「だいぶ飲んでたもんな」