ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

そう思ったところで、はっと気がつく。


すぐ近くで、佐野さんたちが見ている。



あわてて振り向くと、ぽかんとした表情で私を見つめていた。




「……あのー、こちらはどういったご関係で?」




先生を示しながら訊ねられて、私はなんとか笑顔を貼りつける。




「ええと……私が担当してる朝比奈光太先生」



「あっ、幻月の庭の!」



「うん、そう……」




そう答えた瞬間、先生が不満そうな声を上げた。




「またそんな他人行儀なこと言ってー。

あのね、俺たちの関係はね、恋人だよ」




先生はやけに嬉しそうに目尻を下げ、佐野さんたちににっこりと笑いかけた。




「あっ、そうだったんですか。

とってもお似合いです」



「でしょう?

だってほら、俺たちの名前!

光太郎と智恵子だよ。

すごく運命的でロマンチックでしょ?」



「あ、本当ですね。すごい」