ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

………そうだ。


すっかり忘れてたけど、こういう男だった。



私はわざと大きなため息を吐き出して、先生の袖を引いた。




「………ちょっと、先生。

仕事上で関係があるんですから、絡むのはやめてください」




忠告するように言うと、先生がぱっと振り向いた。


なぜか、顔をぱあっと輝かせて。




「………な、なんですか、その顔」



「いやぁ、嬉しくて。

智恵子ったら、ヤキモチ焼くなんて」




ヤキモチ、という言葉に私はどきんと心臓が跳ねるのを感じた。


焦ってふるふると首を振る。




「は? 焼いてません、一つも!」



「あはは、照れちゃって。

かぁわいいなあ〜、ほんと」



「………な、なにを………」




顔が赤くなっている気がする。


ひとが見てるのに!