ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

見慣れた『ほんわか』した笑顔、耳慣れた能天気な呼び声。



私は目と耳を疑った。


でも、見間違いでも聞き間違いでもなく。




「智恵子じゃん!

こんなところで会うなんて、すごい偶然だね〜、素敵だね〜、運命だね〜」



「………え、先生!?」




ぶんぶんと手を振りながら、変な節をつけた台詞とともにこちらに歩み寄ってきたのは、朝比奈先生だった。



………びっくりした。


こんなところで偶然会うなんて………。



予期せぬ遭遇に動揺してしまう。


心の準備ができていない。




「なになに、女子会?」




朝比奈先生はにこにこしながら話しかけてきた。


やけにふらふらしている、と思ってよく見ると、顔が真っ赤だった。




「飲んでらっしゃるんですか?」



「うん、まあね〜。大学の同窓会でね〜」




いかにも酔っ払い、という感じの間延びした答え方だった。