ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

かといって、誰とも接触しないのは、さすがに退屈すぎる。


だから、ひまつぶしに男を落とすゲームが始まった。


そのゲームに私はどんどんのめり込んでいった。



頭の回転が早くて、顔が良くて、機転がきいて話が上手くて、金銭的に余裕がある。


そんなハイスペックな男を見つけて、自分に惚れさせる。



目に見えた成果のある恋のゲームは、やりがいがあって、ひまつぶしにはもってこいだった。



男たちが必死になって私を口説き、夢中になって私を欲しがり、そして私が別れを告げたら絶望の表情を見せる。


それが心地よかった。



『私には価値がある』と思えたから。




「………ほんと、むなしい人生」



私はぼんやりと呟いた。




本当は、自分でも分かっていたのだ。



それは私の真実の『価値』じゃない。


男たちは、私の見た目と、私が演じる『理想的な女性像』に夢中になっていただけなんだから。



でも、そうでもしていないと、あまりにも足許がおぼつかなかった。


男が私を求めるときには、私には存在意義があると思えたのだ。



たとえ、それがまやかしだと分かっていたとしても。