佐野さんが他の二人と顔を見合わせてから、控えめに言った。




「あの……なんか、香月さんて、最近……なんていうか、柔らかくなりましたよね」



「え?」




予想外の言葉に私は目を丸くする。


他の二人も、佐野さんの言葉に同意するように頷いていた。




「あたしも思ってました。

柔らかいっていうか、話しかけやすい雰囲気になりましたよね」



「前は本当に雲の上の人って感じがして、いつもぴんって緊張感が漂って、しょうもない世間話とかで話しかけちゃだめかな、って」



「でも、やっぱり香月さんに憧れてる女の子は多いですよ。

仕事できるし、美人だし、かっこいいですもん」



「他の男性社員より実績もあるし、憧れます」




こんなふうに言われたことなどなかったから、いたたまれないような気持ちになる。




「………でも、私、自分でも自覚あるんだけど………性格悪いじゃない。

だから、いっつも女の子には嫌われるのよ。

きっと、それはあなたたちの思い違いだと思う」