「何度も叱られてますし、そのときはへこみますけど………確かに香月さんのおっしゃる通りだなって、後から思います」



「そうそう、確かに自分を甘やかしてたな、って反省しちゃいます」



「それに、香月さんは文句無しに、他人を叱る資格があるって思います」



「香月さんのストイックな働きぶりは、近くで見てるあたしたちが一番知ってますし」




私が返す言葉もなく聞いていると、佐野さんが微笑んで私を見つめてきた。




「だから、香月さんに、仕事のお話とかじっくり聞かせてもらいたいな、って思ってるんです」




「………そう。私でよければ」




やばい。


なんか、柄にもなく泣いてしまいそうだ。



私は慌てて俯いて、もう一口コーヒーを含んだ。




「………あなたたち、いい子ね。

というか、物好き。

私みたいにきつい嫌味ったらしい女とご飯食べたいだなんて」




動揺を隠すように、わざと自虐的に言うと、彼女たちは同時にふるふると首を横に振った。



その様子が面白くて、思わず噴き出してしまう。