ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛








「………どうでした?」




映画を観終わり、私たちは近くのカフェに入った。



席に着いて、注文を終えてから、私は先生に訊ねる。



すると先生はあっさりと、



「つまらなかったねえ」



と答えた。



誰かと映画を観た直後に、こんなにもあけすけな感想を聞いたことがなかった。



普通は、場の雰囲気というか、相手に気を使って、盛り下げないために、たいして面白くなかったとしても、

「おもしろかったね」とか、「まあまあだったね」とか答えるものじゃないだろうか。



でも、私も、そういうあやふやでその場しのぎの感想は嫌いだったので、先生の答えに満足する。




「ですよね。つまらなかった」



「あ、智恵子もそう思った?」



「ええ。ストーリーも構成も、ひねりがないというか」




先生がうんうんと頷く。




「あまりにも予定調和だったね。

恋愛の描き方も、お互いに何が良かったんだが、どこに惹かれたんだか分からなくて、感情移入できない」




同感だった。