ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

座席を指定してチケットを買うと、先生はそのままフードコーナーに足を向けた。




「やっぱりさ、映画館デートといえばポップコーンだよね」




レジ待ちの行列に並んで先生がそんなことを言うので、私は思わずふるふると首を横に振った。




「私、ポップコーンは嫌いなんです」




すると、先生が目を見開いた。




「えっ、それは奇遇だなあ。

俺もポップコーンて苦手なんだ」



「え………じゃあどうしてポップコーンを頼もうと?」



「いやほら、今日は純愛デートだから」



「だからって何も好きじゃないもの頼まなくても」



「そういえばそうだね」




先生がぷぷっと笑い声を洩らした。




「だって、ポップコーンて、なんかぱさぱさするよね」



「分かります。口の中にコーンの皮が残る感じも嫌ですね」



「あー、それそれ」



「………初めて意見が合いましたね」




私は思った通りの感想を述べた。



何もかも正反対な私たちの意見が、こんなところで合うなんて。


ちょっと驚きだ。